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私が観たり、聴いたりしたものの感想と日常のしょうもないことをウダウダと…
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プロフィール
HN:
赤姫
性別:
女性
趣味:
映画・演劇・音楽鑑賞
自己紹介:
関西在住。生まれ育ちも関西のコテコテ(?)関西人。
洋画・洋楽・歌舞伎で育ったため(?)、ちょっと感覚がヘンかも……
野球好き。ご贔屓はロッテとやっぱり阪神。
別名(まーちゃん)で時々よそ様に出没。

赤姫とは…歌舞伎に出て来る典型的なお姫様。たいてい真っ赤な着物を着ていて、キラキラとした大きな銀の花櫛を鬘につけ、振る舞いもとても可愛いらしい。
子ども時代の私の憧れでありました。
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かうんたー
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母親はアルコール依存症で、ロクに面倒も見てもらえない兄弟。
生まれたばかりの小さな弟は、そんな二人の希望だった。
育児放棄した母親の代わりに、ミルクを工面し、煙草を片手に赤ん坊をあやす。
名前をつけなくてはと思い立ち、電話帳からでたらめに選び、教会の洗礼のまねをする。
まるで、でたらめだったけれど、そこには確かに希望があった。

しかし、小さな弟は突然死んでしまう。

それから月日は流れて……

大人になったニックは、シェルターで暮らしている。
刑務所から出てきたばかり。
酒と身体を鍛えることで、日々をただ過ごしていた。

一方、弟は妻を交通事故で亡くし、幼い息子をひとりで育てていた。
親子は互いに強い愛情で結ばれている。
ある日、ソーシャルワーカーに、かつて薬物中毒だったことを引き合いに出され、息子をきちんと育てられないなら引き離すと伝えられる。
クスリはもうやっていないし、ちゃんとやっていけると言う弟だったが、家につくとすぐに息子をリビングに残し、バスルームで慣れた手つきでクスリを打つ。
気を失ってしまい、あわてて部屋に戻ると、息子は床で眠り込んでいた。

疎遠になっていた兄弟は、母親の死をきっかけに葬儀で再会する。
兄は、母親に遺産があったことを兄が弟に告げ、遺産は全部やると言う。
ただ、彼の息子が心配なのだと……。

愛された実感がないのに愛するのは難しい。
だから、兄のニックは恋人のしたことに対処出来なくて、八つ当たりして、刑務所に入る羽目になったりする。
弟は、ちゃんと息子の面倒を見たいと思ってるのに、我慢しきれずに、またもクスリに手を出して、息子を放ったらかしにする羽目になる。
兄は酒浸り、弟はクスリ漬け。
結局、大嫌いだった筈の母親と似てしまっている。

愛しているのに、具体的にどうすればいいのか分からないのだ。

悪人なんじゃない。
だけど、人間として基本的なことが、ちゃんと理解出来てなかったり、分かってても行動出来なかったりするのだろう。
所謂、正しい方法が分からないのだ。
貧しければ、盗めばいいっていうのは、やっぱり違うし。
せっかく手に入れたお金も、いくら増やしたくても、そんな方法は取るべきじゃないし。
何もかもが、どうしてそうなっちゃうんだよ!?と、言いたくなる程、悪い方へ悪い方へ転がっていく。
というよりは、悪い方ばかり選択してしまう人達なのだ。
他のいい方法は思いつけないのだ。
他のいい方法を知らないのだ。

どうして、兄弟が疎遠になったのか。
母親の元をいつ離れたのか。
その辺りのことは描かれない。
だから、想像するしかない訳だけど。
唯一寄り添える存在だった筈の兄弟を引き離したものは何だろう?
小さな弟を失くした辛い記憶だろうか?

弟の息子の名前は、兄弟にとって大きな意味を持つ。
失くしてしまったものを、取り戻すことはとてつもなく難しいけれど。
他の何かで少しずつ埋めていくことは出来るかもしれない。
それは、失われてしまったものとピッタリ同じではないけれど。

辛いことばかりが次々と起こってしまうけど、ニックが「何とかなるさ」と言えるようになったのは、きっといいことなんだろう。
だから、とても悲しいラストシーンも、どこかに光を感じられる。

きっともうすぐ、何とかなるために、何とかしなきゃいけないことに、気づけるようになるだろうって……。

何だか、ボディーブローのように、だんだん後から効いてくる映画。
弟に名前がないのは、誰もが彼のようになり得る、ということを現わしているのかもしれない。
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