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私が観たり、聴いたりしたものの感想と日常のしょうもないことをウダウダと…
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プロフィール
HN:
赤姫
性別:
女性
趣味:
映画・演劇・音楽鑑賞
自己紹介:
関西在住。生まれ育ちも関西のコテコテ(?)関西人。
洋画・洋楽・歌舞伎で育ったため(?)、ちょっと感覚がヘンかも……
野球好き。ご贔屓はロッテとやっぱり阪神。
別名(まーちゃん)で時々よそ様に出没。

赤姫とは…歌舞伎に出て来る典型的なお姫様。たいてい真っ赤な着物を着ていて、キラキラとした大きな銀の花櫛を鬘につけ、振る舞いもとても可愛いらしい。
子ども時代の私の憧れでありました。
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かうんたー
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ワルシャワ郊外の緑に囲まれた木造の古い屋敷。
その家で愛犬フィラデルフィアと静かに暮らす一人の女性アニェラ、91歳。
年老いた今も美しく、誇り高く生きる彼女。
戦前に両親が建てたその家で生まれ、成長し、恋をし、夫と暮らし、一人息子のヴィトゥシュを育てた。
夫は既に他界し、息子も結婚して家を出ている。
共産主義時代に政府から強制された間借人もようやく出ていった。
今、さほど長くはない自らの余生と彼女が愛する家をどうするか考えている。
その家で彼女が体験した忘れることの出来ない思い出の数々と、思い通りにはいかない歯がゆい現実、息子の家族に同居を拒否された寂しさ、健康への不安……。
やがて彼女は人生最後の決断を下す。
彼女が遺そうとしたものとは……

最初からずっとモノクロ映像だったのかな?
何だか、女医さんの口紅がやたらと目立った気がして……
最初のシーン、体調が悪いのか、病院に行ったアニェラ婆ちゃん。
女医はぶっきらぼうに脱いで横になってと言う。
いきなり、「脱いで」などと言われてアニェラ婆ちゃんはムッとする。
そして、結局診察を受けずに外に出る。
その時に頭の中でグルグルしている婆ちゃんのモノローグが、彼女の性格を物語っている。
いきなり脱げだなんて失礼だわ。
母さんがいたら怒る。
嫌いだと思ってた母さんだけど、今居ればいいのにと思う。
女医は高い教育を受けている筈なのに、どうしてあんなに不躾なのかしら?
婆ちゃんはとても誇り高いのだ。
そして、家族にちょっぴり複雑な心情を持っているようだ。
婆ちゃんは森の中の大きな家に、愛犬フィラデルフィア、愛称フィラと一人と一匹の暮らし。
フィラを相手におしゃべりし、隣の家を双眼鏡で覗くのが趣味。
一つは成り金の愛人の家、成り金は週末だけやって来る。
一つはバラック、そこに通う子どもたちは“シベリア”と呼んでいる音楽クラブ。
紅茶の代わりにリキュールをチビチビ飲みながら、隣の様子を窺っては愛犬フィラに話しかける。
このフィラが実に表情豊か。
といっても、こっちが想像しているんだけど……
スゴく愛嬌があって、傍にいてくれたら寂しさがかなり紛れるだろうと思われる。

結婚して家を出た息子は年に数回、孫娘を連れて顔を見せに来るだけ。
嫁とは折り合いが悪く、同居は叶えられそうもなかった。

ある日、成り金の使いの男がやってきて、家を売って欲しいと言い出す。
アニェラは破格で買い取るという申し出をあっさりと断って男を追い返すが、成り金はその後もしつこく電話を掛けてくる。
自分の体調がすぐれないことを感じるようになったアニェラ。
残された日々はあまり長くないことを察していた。
しかし、唯一の気がかりは、美しい思い出をたくさん与えてくれた、自分の人生そのものといえる家のこと。

アニェラは息子一家を説得しようと、8歳になる孫娘にその家に住む気はないかと尋ねるが、わがままな孫娘は祖母に対する思いやりのかけらもない。
家よりも、アニェラの指輪が欲しいと言い出す始末。
さらに、その夜、アニェラは息子のヴィトゥシュが、隣人宅で彼女名義のその家を売る相談をしているのを目撃する。
そして、驚いたことに自分を嫌っているとばかり思っていた嫁が、ヴィトゥシュの身勝手な行為を非難しているのを聞く。

ショックを受けたアニェラは、自ら命を絶つことさえ考えたが、バカバカしくなり、翌日大胆な行動に出る。
彼女は音楽クラブを開いている隣人宅へ向かうと若いカップルにある提案をする。

婆ちゃんは最後の最後まで自分で決めた。
昔ながらの手作りのガラスが持つ歪みを通して外を見ると、まるでタイムスリップしたみたいだ。
アニェラが庭で遊ぶ可愛い息子を見たのは、ただの幻だったのか?
今はもういなくなってしまった可愛い息子。
嫌っていた嫁の方が息子よりも自分のことを思ってくれていると知ったのは、相当なショックだっただろう。
情けない息子にも、思いやりのある嫁を嫌った自分にも嫌気がさしたに違いない。
それですぐさま人生の一大決心が出来るというところがスゴい!
こういう芯の通ったところが冒頭の病院での場面から見てとれる(と、思う)。
最後の最後までちゃんと自分の納得のいくように出来るってホントにスゴくてうらやましいこと。
それが出来たのは長い人生を生き抜いてきた婆ちゃんの強さの賜物なのだろう。
長生きはあんまりしたくないけど、するんなら婆ちゃんのように最後まで自分の意思で生きたいものだ。

婆ちゃん、婆ちゃんと書いているが、成り金の使いの男の台詞にあるようにアニェラは今もチャーミング。
姿勢もしゃんとしてて、杖に頼ったりせずに歩ける。
そして、孫娘に言う。
婆ちゃんじゃなくて、お婆様とお呼び、と。
私もきっと、「不躾な!」と怒られることだろう(^_^;)

モノクロといってもほんの少し赤紫がかっている気がする。
コントラストのくっきりした、それでいて温かみのある映像。
色はない筈なのに色彩豊かに感じられる不思議な映像だった。
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