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私が観たり、聴いたりしたものの感想と日常のしょうもないことをウダウダと…
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プロフィール
HN:
赤姫
性別:
女性
趣味:
映画・演劇・音楽鑑賞
自己紹介:
関西在住。生まれ育ちも関西のコテコテ(?)関西人。
洋画・洋楽・歌舞伎で育ったため(?)、ちょっと感覚がヘンかも……
野球好き。ご贔屓はロッテとやっぱり阪神。
別名(まーちゃん)で時々よそ様に出没。

赤姫とは…歌舞伎に出て来る典型的なお姫様。たいてい真っ赤な着物を着ていて、キラキラとした大きな銀の花櫛を鬘につけ、振る舞いもとても可愛いらしい。
子ども時代の私の憧れでありました。
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かうんたー
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ナチス占領下のパリ。
ユダヤ人は胸に黄色い星をつけることが義務付けられた。
11歳のジョーは、星をつけてること、公園や映画館、遊園地への立ち入りが禁じられたことに腹を立てていた。
何かが変わろうとしていた。
しかし、ジョーと家族は、ささやかな幸せが続くと信じていた。
ある朝、荒々しいノックの音が彼らをたたき起す。
フランス警察だ。
1942年7月16日、夜明け前のパリで始まったユダヤ人の一斉検挙。
子供や女性、赤ん坊さえ冬季競輪場に押し込められ、5日間、水、食料もなく放置された。
医師はたった一人。
自分も検挙されたシェインバウム、それと数人の看護士が人々の治療を引き受けていた。
そこに赤十字から派遣された看護師のアネットが加わるが、とても追いつかない。
だが、それは信じ難い出来事の、ほんの始まりに過ぎなかった--。

50年もの間、公式に認められなかったフランス政府によって行われた、史上最大のユダヤ人一斉検挙。
「ヴェル・ディヴ事件」(冬季競輪場の名前に由来している)。
95年にシラク元大統領がフランス政府の責任を認めるまで、事件はナチスドイツによる迫害のひとつだと捉えられていたそう。
いったいフランスは、何をしたのか?

ユダヤ人達が黄色い星を付け、表立って彼らを嫌う人々もいる一方、今まで通り変わらぬ付き合いをしてくれる近所の人達もいる。
昨日まで仲良くしていたのに、人に言われたから、急に嫌うというのも変な話だものね。
それに、起こした事件も酷いが、他人に罪をなすりつけようといういうあたり、『カティンの森』を思い出す。
あのナチス・ドイツ怪物のしたことに比べれば、大したことがない(なんて、スターリンが思ってたらちょっと……)。
自分達は勝ったんだし、負けたやつのせいにしてしまえばいい。
というのは、あまりといえばあんまりな話。

さて、ユダヤ人の一斉検挙の噂が流れ、いつも見回りをしている巡査や、軍で働く女性から気をつけるようにと知らされますが、誰もが兵器工場に男手が必要なためだと思っていました。
しかし、ナチス・ドイツに言われたノルマを達成するため、また、面倒を見切れないとの理由で、ナチス・ドイツからは排除するように言われた子供達まで検挙のリストに載せられます。
ジョーの家でも、検挙の噂に長女は、どこかに逃げようと言いますが、父親はその費用も行く当てもない、第一逃げた知り合いは今は収容所じゃないかとなだめます。
気をつけるに越したことはないと、父親が家族と離れて地下室で眠った翌朝、フランス警察がやって来たのでした。
名簿に載っている筈の父親がいないと言う警察に、とっさの機転でつい先日亡くなったと言う母親でしたが、荷物を持って家を出るよう言われたため、ジョーは思わず「お父さんに言わないと」と、言ってしまいます。
彼には、母親が父親をかばって吐いた嘘が分からなかったのでした。
自分のせいで父親も捕まってしまったことに、どんなに傷ついたかと思うと胸が痛みます。
たとえ、父親が「家族一緒に居られた方がいい」と言ってくれても。
冬季競輪場は、満員御礼以上に人であふれ返っています。
2日分の食料を持ちだすように言われたものの、既にその2日は過ぎてしまい、水すらありません。
そこへ、ホースの点検に消防隊がやって来ます。
人々は水を出してくれると思い、大騒ぎ。
そして、隊長は警察に逆らって人々に水を配ります。
水を配る消防隊員は人々からたくさんの手紙を預り、投函することを約束します。
こんな風に、人には正しいことを選択できる余地があるのです。
でも、この時彼らを止めようとした警察官達のように、大きな力に逆らえず、流されてしまいがちです。
自分には子供がいるからという警備の警官に、看護士のアネットがここの子供たちのことはいいのかと詰め寄ります。
どちらも、同じ子供なんですけど、他の子供を犠牲にしても我が子を守りたいというのは生き物の本能なのでしょうか?
どちらも犠牲にしない方法を考え出すべきなのだと思うのですけどね、人間は。
結局彼らは、収容所に送られ、劣悪な環境で過ごした後、処理施設に送られます。
しかも、親と子供は引き離されてしまうのです。
最期の時すらも、親と離れ、心細く過ごさなければならないというのは、あまりにも不憫です。

終戦後、移送前に収容所を脱走したジョーがアネットと再会します。
彼女に「優しい人が養子にしてくれた」と笑顔を見せるジョーですが、養父母とかつては入ることを禁じられた遊園地にいるジョーの顔には何の表情もなかったように思えました。
「列車に乗った子は誰も帰って来なかった」
そう、アネットに聞いたジョーの心に去来したものは何だったのでしょう?

検挙されたユダヤ人は1万3千人。
名簿では府2万4千人の予定でしたから、1万人以上が匿ってもらったり、逃がしてもらったりしたようで、フランス人の心意気を感じるのですが、それと裏返しなのか、終戦後ナチスの兵士と付き合ってた女の人達に酷いことをしましたよね?
自分や家族を守るために仕方なくそうした人もいるだろうと、思うのですが、そういうところは思いやってくれないのね……。
と、思うと、何だか……(-_-;)
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アフリカ大陸ケニア。
イギリスの植民地支配から独立を勝ち取って39年になる2003年、政府はついに無償教育制度をスタートする。
田舎の小さな小学校の前には何百人もの子ども達が押し掛けた。
その中にただ一人、老人の姿が。
84歳になるマルゲだ。
今まで教育を受ける機会がなかった彼、“文字を読みたい”一心で、馬鹿にされながらも、長い道のりを学校まで来ては門前払いされていた。
しかし、そんな彼の情熱に若い女性校長ジェーンは、周囲の反対を押し切って、マルゲの入学を認める。
子ども達に交じり、初めて学ぶことの楽しさを体験するマルゲ。
だが、50年前の悪夢は、毎夜彼を苦しめ続けていた。
彼は『マウマウ団』に属し、民族の独立のために戦ったのだが、そのために愛する妻子を目の前で殺され、強制収容所で拷問にかけられたのだ。
彼の元に届いた、ある一通の手紙。
それを自分の力で読みたい。
それが彼が学びたい理由だった。

実話が元になっているのだそうです。
ギネスにも載った84歳の小学生、キマニ・マルゲさんのお話です。

ラジオで、全国民が無料で教育を受けられると聞いたマルゲは、(多分)一番近い小学校へ、不自由な脚で長い道のりを懸命に歩いてやって来ます。
しかし、小学校は定員の何倍もの子ども達でいっぱい。
マルゲは、「爺さんが何の用だ!」と、追い返されてしまいます。
それでも、鶏を売り、鉛筆やノート、制服までも用意して学校にやって来るマルゲに、面倒なことになるという教師の言葉を遮り、ジェーン校長はとうとう入学を許可します。
子どもたちと机を並べ、初めて『a』を書いた時の嬉しそうな顔が印象的です。
そうして、一緒に学んでいくうちに、最初は遠巻きだった子ども達も彼を慕うようになります。
しかし、上手くいかないこともありました。
例えば鉛筆。
先が丸いと教師が削るように言うのですが、彼には鉛筆にまつわる辛い過去があったのです。
そのせいで、削るのを手伝おうとした生徒をつい突き飛ばしてしまいます。
それでも、フラッシュバックを乗り越え、学び続けるマルゲ。
しかし、彼が学校に通うことを快く思わない人達もいて、脅しにあったりします。
また、彼が有名になり、取材がやって来たりすると、そのことで儲けたのじゃないかと、金銭をせびろうとしたり。
ケニアとして一つの国になったものの、いまだに部族間に差別意識があったり……
これは、マルゲにもありました。
自分達が命をかけて戦っていた時、支配者であるイギリス側に付いた部族を許すことが出来なかったのでした。
マルゲの存在が有名になり過ぎたことが災いしたのか、ジェーン校長に転勤が命じられます。
それを知ったマルゲは、町へと向かい、お偉方と直談判するのです。
そして、彼の情熱は子どもたちにも伝わり、反乱が起こります。
小さな、しかし大切な自由を勝ち取るための反乱です。 

過去から学び、さらに前進していかなくては……
マルゲは言います。
過去にこだわるのはいいことではないけど、なかったことにするのは違う。
起こってしまったことは変えられない、だけど未来は帰ることが出来る。

マルゲが文字を読めるようになりたかったのは、大統領府から届いた一通の手紙を自分で読みたかったから。
この手紙だけはどうしても自分で読みたい、読まねばならないと思うマルゲ。
しかし、その手紙を最後にはジェーン校長に読んで欲しいと言うようになる。
それは、絶対的な信頼の表れなのかな……と思った。

さて、南米もそうだけど、部族間で話す言語が異なるために共通語が、旧支配国の言葉になることが多いよね。
自分達を虐げた国の言葉である英語を話し、そして今また英語を学ぼうとするマルゲの気持ちはどんなだったろう?
まぁ、便宜上そうするより仕方がないと納得しているのかもしれないんですけど……。

そこいら辺の心情は描かれてなかったのがちょっと残念かな~
こういうお話をイギリス人の監督が撮るというのも、いいと思う反面、複雑な思いもあります。

でも、何で学校行かなくちゃいけないんだろう……(・へ・)
とか、思ったりしましたよね?
押し付けられているように思うけど(まぁ、そんな風に思うのは仕方ない気もするんですけど……)、実は学ぶっていうのは“権利”なんだと思える映画です。
1969年7月20日、月面着陸に成功したアポロ11号。
人類は初めて月に降り立った。
全世界が注目したこの歴史的偉業の陰で、米国政府とNASAはある事実をひた隠しにしていた。
以前に月での衝撃を観測。
隕石などではない何かが追突したのだ。
それを確かめるため、何としてでもどこよりも早く月に人類を送る必要があったのだ。
月に降り立ったアームストロング船長とオルドリン操縦士は、未知の金属生命体であるトランスフォーマー達の不時着した宇宙船を発見する。
時は移って
現代のアメリカ。
社会人となったサムは、卒業はしたものの未だに無職。
住むところもなく、恋人の家に居候。
今日も会社の面接に出かける。
しかし、そんな時、異変が再び始まる。
ディセプティコン達が復活し、人間を襲い始めたのだ。
政府が隠匿したものが原因で街は壊滅的な状態に陥り、その被害は世界の都市へと広がっていく。
オブティマス・プライムら一部のトランスフォーマーたちは地球に味方し応戦するが、地球上に潜んでいたデイプティコン達や宇宙から次々とやってくる新たな敵の圧倒的なパワーに対し、なす術もなく追い詰められていく。
やがて、トランスフォーマーの追放を条件に停戦が申し入れられるのだが……

見て来ました。
もちろん2D。
何で~値打ちがないじゃないの!!
と、言われようが、しんどいものはしんどいのです。
そうじゃなくても、マイケル・ベイはやたら長くて疲れるんだし。
しかも、見た人から、特に何が飛び出してくるって訳でもないし、2Dで十分だよ。
と、聞くに至っては……
彼女と話したところでは、一番値打ちがあったのは、私もお供して3D初体験させてもらったブラッディー・バレンタイン。
やっぱり、斧とかがブン!と飛んでくる方が値打ちあるんじゃない?
というわけで、やっぱりキャメロンが散々けなしたピラニア3Dは興味あるね(V)o¥o(V)

さて、お話は唐突に寝室から。
あんなことを乗り越えたカップルがフツーのことで別れるって、現実にはありえるだろうけど、違和感ありありでしょ。
いきなりの新恋人登場はやっぱり何だかね;;
しかも、朝日に輝く脚毛が眩しい!!
3Dで見たら飛び出しているのだろうか?
で、この彼女とサムの会話がホントにバカ。
も~倒れそうになるくらいバカ。
座ってて良かった(^_^;)

前半は、予定よりも早くに訪ねて来ちゃったサムのご陽気な両親とか、元セクターセブンのシモンズ君とその僕(しもべ)とか、就活先の面接官で髪型が素敵なジョン・マルコピッチとか、色々笑わせてくれる要素あり。
そして、チワワのように鎖につながれていた元ディセプティコンとか、それの友達でノートパソコンからトランスフォームする小さい子はお笑い担当。
いや、ちょいちょい小ネタが挟まれて、面白いっちゃ、面白いんだけど……
見た回に外国人が何人かいはったんですけど、私がクフッてなるくらいの所で、ダ~ハッハッハッて……笑いのハードルが低過ぎないか?

ま、それはさておき、見所は後半の戦闘シーンですね。
ディセプティコン対トランスフォーマーはもちろん、今回は人間も頑張ります。
アメリカ軍だけだけど~
いつもの通り、アメリカが世界を救うんだよ!って話。
ま、それはいつものことだから。
バンブルビーが今回も可愛くって可愛くって、健気で涙が出ちゃうよ(@_@。
何ていい子なんだおまいは!!

戦闘シーンは一見の価値ありなので、個人的には別に変わんないと思うんだけど、3Dで気持ち悪くなったりしない人はさらにスゴイと評判の映像を楽しみにお出かけください。
今回ストーリーの方は、米ソの宇宙開発戦争という歴史的事実の裏に、実はこんなことが……というのを盛り込んだことで、ちょっと現実味が出てきてる。
実際の映像も使えるし、虚実入り混じった映像は錯覚を起こさせる。
そして、オブティマスの先生だったセンチネル・プライムの登場、話は荒廃してしまったサイバトロン星の再生に及ぶ。
と、大風呂敷を広げたのはいいけど、やっぱりイマイチ回収しきれなかった(笑)
ま、マイケル・ベイだから。

だけど、あんなに激しい戦闘シーンを繰り広げといて、結局は『口』がモノを言うってことなの?
まぁ、前振りあっての機転ですけどね~

今回、一番いい出来だったのは予告編かもね。
えぇっ!どっか行っちゃうの?オブティマス~(ToT)
って、なったでしょ。
ドキドキしたね。

とりあえず、トランスフォーマーと人類は仲直りして、これからも仲良く暮らすのでした。
めでたしめでたし。

しかし、一晩寝て起きたら、やっぱ、何にも残ってないね~
さすが、マイケル・ベイ(爆)
ワルシャワ郊外の緑に囲まれた木造の古い屋敷。
その家で愛犬フィラデルフィアと静かに暮らす一人の女性アニェラ、91歳。
年老いた今も美しく、誇り高く生きる彼女。
戦前に両親が建てたその家で生まれ、成長し、恋をし、夫と暮らし、一人息子のヴィトゥシュを育てた。
夫は既に他界し、息子も結婚して家を出ている。
共産主義時代に政府から強制された間借人もようやく出ていった。
今、さほど長くはない自らの余生と彼女が愛する家をどうするか考えている。
その家で彼女が体験した忘れることの出来ない思い出の数々と、思い通りにはいかない歯がゆい現実、息子の家族に同居を拒否された寂しさ、健康への不安……。
やがて彼女は人生最後の決断を下す。
彼女が遺そうとしたものとは……

最初からずっとモノクロ映像だったのかな?
何だか、女医さんの口紅がやたらと目立った気がして……
最初のシーン、体調が悪いのか、病院に行ったアニェラ婆ちゃん。
女医はぶっきらぼうに脱いで横になってと言う。
いきなり、「脱いで」などと言われてアニェラ婆ちゃんはムッとする。
そして、結局診察を受けずに外に出る。
その時に頭の中でグルグルしている婆ちゃんのモノローグが、彼女の性格を物語っている。
いきなり脱げだなんて失礼だわ。
母さんがいたら怒る。
嫌いだと思ってた母さんだけど、今居ればいいのにと思う。
女医は高い教育を受けている筈なのに、どうしてあんなに不躾なのかしら?
婆ちゃんはとても誇り高いのだ。
そして、家族にちょっぴり複雑な心情を持っているようだ。
婆ちゃんは森の中の大きな家に、愛犬フィラデルフィア、愛称フィラと一人と一匹の暮らし。
フィラを相手におしゃべりし、隣の家を双眼鏡で覗くのが趣味。
一つは成り金の愛人の家、成り金は週末だけやって来る。
一つはバラック、そこに通う子どもたちは“シベリア”と呼んでいる音楽クラブ。
紅茶の代わりにリキュールをチビチビ飲みながら、隣の様子を窺っては愛犬フィラに話しかける。
このフィラが実に表情豊か。
といっても、こっちが想像しているんだけど……
スゴく愛嬌があって、傍にいてくれたら寂しさがかなり紛れるだろうと思われる。

結婚して家を出た息子は年に数回、孫娘を連れて顔を見せに来るだけ。
嫁とは折り合いが悪く、同居は叶えられそうもなかった。

ある日、成り金の使いの男がやってきて、家を売って欲しいと言い出す。
アニェラは破格で買い取るという申し出をあっさりと断って男を追い返すが、成り金はその後もしつこく電話を掛けてくる。
自分の体調がすぐれないことを感じるようになったアニェラ。
残された日々はあまり長くないことを察していた。
しかし、唯一の気がかりは、美しい思い出をたくさん与えてくれた、自分の人生そのものといえる家のこと。

アニェラは息子一家を説得しようと、8歳になる孫娘にその家に住む気はないかと尋ねるが、わがままな孫娘は祖母に対する思いやりのかけらもない。
家よりも、アニェラの指輪が欲しいと言い出す始末。
さらに、その夜、アニェラは息子のヴィトゥシュが、隣人宅で彼女名義のその家を売る相談をしているのを目撃する。
そして、驚いたことに自分を嫌っているとばかり思っていた嫁が、ヴィトゥシュの身勝手な行為を非難しているのを聞く。

ショックを受けたアニェラは、自ら命を絶つことさえ考えたが、バカバカしくなり、翌日大胆な行動に出る。
彼女は音楽クラブを開いている隣人宅へ向かうと若いカップルにある提案をする。

婆ちゃんは最後の最後まで自分で決めた。
昔ながらの手作りのガラスが持つ歪みを通して外を見ると、まるでタイムスリップしたみたいだ。
アニェラが庭で遊ぶ可愛い息子を見たのは、ただの幻だったのか?
今はもういなくなってしまった可愛い息子。
嫌っていた嫁の方が息子よりも自分のことを思ってくれていると知ったのは、相当なショックだっただろう。
情けない息子にも、思いやりのある嫁を嫌った自分にも嫌気がさしたに違いない。
それですぐさま人生の一大決心が出来るというところがスゴい!
こういう芯の通ったところが冒頭の病院での場面から見てとれる(と、思う)。
最後の最後までちゃんと自分の納得のいくように出来るってホントにスゴくてうらやましいこと。
それが出来たのは長い人生を生き抜いてきた婆ちゃんの強さの賜物なのだろう。
長生きはあんまりしたくないけど、するんなら婆ちゃんのように最後まで自分の意思で生きたいものだ。

婆ちゃん、婆ちゃんと書いているが、成り金の使いの男の台詞にあるようにアニェラは今もチャーミング。
姿勢もしゃんとしてて、杖に頼ったりせずに歩ける。
そして、孫娘に言う。
婆ちゃんじゃなくて、お婆様とお呼び、と。
私もきっと、「不躾な!」と怒られることだろう(^_^;)

モノクロといってもほんの少し赤紫がかっている気がする。
コントラストのくっきりした、それでいて温かみのある映像。
色はない筈なのに色彩豊かに感じられる不思議な映像だった。
伝説的DJとして名を馳せていた“デリシャスD”ことディーン。
今は車いすの身で、スラム街で車上生活をしている。
炊き出しにやってくるジョーという神父が相談に乗ってくれるが、思うようにはならない。
ある日、彼が手を触れた老人の病気が治ったことから、ジョー神父はディーンが人を治癒する力を持っていることに気付く。
ジョー神父は彼の力を用いて人々を治してゆくが、ディーンは次第に自分が利用されていると考えるようになり、自分のために力を使おうとする。
かつての夢であった音楽での成功を求め、デビューを間近に控えたロックバンドへと加入するのだが……

オーランド目当てで行くと失敗するよ。
マーク・ラファロが監督ってどんなかな~?という訳で見て来ました。
ディーンがどうして歩けなくなったのかというのは描かれてなかったと思うんですけど、最初に狂熱的なキリスト教集会に彼が出かけていくところから始まります。
実際、歩けなかったという人が立ち上がれるようになったりするのを目にします。
で、指名された人が治癒を授かるというわけなんですけど……
彼を集会に誘った人が「君のことなんじゃないか!?」と言うんだけど、後ろの人だったり。
まぁ、どこかで分かってたんだと思うんですよ。
こんなの、仕込みでしょ?
フツーは。
でも、まぁ、もしかしたら……という気もちもあっただけに、ガックリしちゃうよね。
さて、自分が手を触れると人が治るらしいと言われ、実際に無理やり目の見えない婆ちゃんに触らされて、婆ちゃんの目が見えたのを目の当たりにしたディーン。
当然、自分に試します。
いや、でもさ、今まで生活してて自分に触らないってことないと思うんだけど;;
まぁ、普段は車いすを動かすために手袋してるからね。
もしかして……と思うよね。
でも、占い師が自分のことを占えないように自分には力は効かないのでした(>_<)
最初は、少額の生活費をもらうことを条件に神父の言うとおり人々に触れるディーンですが、何てったって目の前でバンバン献金は集まっていくし、大金持ちが娘を直してくれたら25万ドル寄付をするというのを聞いて、もう堪らなくなっちゃうんだね。
そりゃ、そうだよ~
自分は家もなくって、明日のご飯の心配もしなきゃいけない身の上なのに。
神父は人々のためっていうけど、施設を建てたいとかいうのも“神父の欲”なんじゃないかと思うのですよ。
人のためになることなんだろうけど、自分がそうしたいんだもんね。
で、
元々DJ時代の彼の腕を知っていたアリエルに誘われて、バンドのオーディションを受けに行くも、バンドの世話をしてるという人にキレちゃって追い出されちゃう。
だけど、彼の力を知ったバンドのヴォーカルが今度は誘いに来る。
ライヴがメインだけど、ちょっと余興をやってくれればいい。
その、ちょっとした余興が評判となってツアーは大盛況。
だけど、神父に言われて治療してた頃からだけど、誰でも彼でも治せる訳じゃないんだね。
手を当てて何も感じない人は治せないみたい。
という訳で、100%の成功率じゃないことを危惧したバンドの世話人はサクラを用意する。
こうなると、もう、完璧にだたの見世物。
だけど、観客は誰よりもディーン待っている。
という訳で、自然と態度もデカくなる。
事実、彼の人気でお客が入ってるんだしね。
そして、ある日彼を誘ってくれたアリエルが演奏中に倒れたのを治そうとするも出来ずに死なせてしまうという事件から、何もかもが大どんでん返し。
彼は裁判にかけられる。

シンパシー・フォー・デビルっていうのあったよね?
『悪魔を憐れむ歌』って邦題がついてたはずだけど。
それをもじってあるんだろうけど、ディーンは憐れんで欲しい訳ではなかった筈。
だけど、分かって欲しかった筈。
衣食足りて礼節を知る、じゃないけど。
自分が苦しいのに、人を幸せにして、自分は不幸せなままで、それでも喜べるなんて、よほどの聖人君子か偽善者だ。
この辺のディーンの苛立ちはよく分かる。
ただ、最後の解脱は、そうなのかな~
そういう心境になれるのかな~
って感じだったけど。
下がってて、グンと上がって、ドスンと落ちて、裏切られて、いっぱい考える時間があって、たどり着いたところだろうから、そこを分かるのは難しい。

主役のデリシャス・Dを演じたクリストファー・ソーントン。
どこかで見たことある人だなぁ……と思っていました。
パンフレットをチラ見したところ『ブラザーズ&シスターズ』に出たことあるらしい。
こんなに目の綺麗な男を見落とす訳がない……と、家に帰ってからも考えていたら、思い出しました。
二男のケビンが昔ケガをさせちゃった少年が、当時は大丈夫だと聞かされていたのに、実は歩けなくなったのだと聞いて20何年経って会いに行くというエピソードで、相手の少年の現在の姿を演じていたのが彼でした。
ということは、車いすの彼しか見たことがない……
IMDBを斜め読みしたところ、25歳の時にロッククライミング中にケガしたのが元で下半身不随になったようです。(バカが英語を斜め読みしたから違ってるかも;;)
役者としてのキャリアは既にスタートしていたようなので、この時の落胆ぶりは相当なものだったのでは……と思われます。

そんな彼自身の、苛立ちと解脱(っていうと何だけど)が、この話には盛り込まれているのかな~?と思うと、また感じるものが違ってくる気がします。
それぞれの人物が、もう少し丁寧に描かれていたら尚よかったんでは……と思われる作品ではありますが、彼の親友だというマーク・ラファロは手堅くまとめたのではないでしょうか?
マークとクリストファーのえぇ話。に、まぁ、ちょっと付き合ってあげましょう。
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